T560/20データ・ストリーム

By 神居 - Posted: 2010/10/04 Last updated: 2010/10/05 - Leave a Comment

T560/20データ・ストリーム

T560/20データ・ストリームは日立のメインフレーム(VOS3等)で使用される、ホスト・コンピュータ側のオンライン処理プログラムと端末装置(ディスプレイ、プリンター)間でやり取りされる、データフォーマットの規約。HNAやTCPよりも上位のプロトコルで、アプリケーション・プログラムで直接ハンドリングされる通信データのことです。現在ではアプリケーション・プログラムが直接VTAMやXNFを介して通信することはほとんどなく、DCCMなどのミドルウェアなどのサービスを介して端末とのトランザクション通信がなされるのが一般的で、一般プログラマーがデータ・ストリームを理解し習得する必要はほとんどありません。これは日立に限らず、富士通やIBMでも同じです。
端末パネルの表示が上手く行かないような場合に、通信データのトレースを見てどんな内容がやり取りされているかを調べるような時にはデータ・ストリームの知識が必要になりますが、一般のユーザー自身でそれを行うこともほとんどないです。

データ・ストリームは端末画面のどこに(何行目の何桁目といった場所:アドレス)、何を(文字列の種類(漢字:英数字など)や内容)、どのように(色、輝度、罫線などの属性)表示する、といったものを明確にするために使われます。


アウトバウンドとインバウンド

データ・ストリームはデータが流れる方向によって、アウトバウンドとインバウンドの2つに分かれます。アウトバウンドはホストから端末方向のデータで、画面内容を示すデータで構成されています。
インバウンドは端末からホスト方向のデータで、アウトバウンドで示された画面に対して端末オペレーターが、どのようなデータを入力したかをホスト側プログラムに通知するものです。

TSSなどの対話型処理では、最初のアウトバウンド、インバウンド、それに対する答えとしてのアウトバウンド、インバウンド、・・・のように交互にやり取りがなされます。その他、画面の表示以外にもファイル転送などを行うためのデータ・フォーマットも規定されています。この場合は画面には転送データは表示されず、画面の裏でファイルデータがやり取りされるような動きになります。


コマンドとオーダー


データ・ストリームの例

T560/20データ・ストリームは、マニュアル「T-560/20ターミナルシステム」(500-2-095)に概要が解説されていましたが、実際にプログラムを作成して端末にデータを表示させたり、端末からのデータを読み込んだりするためには情報不足です。その他にも輸出用の英文マニュアルがあったような気もしますが定かではありません。ベンダー向けに開示された技術仕様書にはconfidentialのスタンプがあったので、国内向けには詳細が一般公開されていなかった気もします。そんなわけでプログラムを作成したり、トレースを解析するレベルの詳細であれば、メーカーに照会する必要があります。IBMはマニュアルですべて公開していますが、富士通や日立は端末のデータ・ストリームに関して、ユーザーに対してはその必要性がない限り公開されない可能性が高いです(ソフトウェア・ベンダーの場合は技術情報の開示契約に基づきます)。FHオーダーのDFCビットなどもマニュアルには詳細(何ビット目が何を示す)はマニュアルに記載されていなかったので掲載しませんでした(昔の自分のノートには書いてありますが、さすがに勝手に出すことはできません)。
検索回数が多かったので記事として掲載してみたのですが、今となってはベンダーでエミュレーターでも作る人でない限り実務で詳細が求められることはないでしょう。製品のトラブル等であれば、メーカー(あるいはベンダー)で調べるからトレースなどはそのまま渡してくれれば結構です、となるでしょうし。ミドルウェアを使わずに独自のオンラインプログラムを作ることも今はないでしょう。そうであっても個人的にはブラックボックスにしないで、公開した方がいいと思いますが、このあたりの考え方は日本のメーカーとIBMとでは本当に違いますね。

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