現代の「メインフレームコンピュータ」を支えるエミュレータ(2)「磁気ディスク装置」
By 岡田 - Posted: 2016/08/13 Last updated: 2020/07/02
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第二回目は「磁気ディスク装置」のエミュレータについて説明します

上の図はコンピュータシステムによく用いられる「記憶装置の三階層」にメインフレームの記憶装置を当てはめたものです。
一番上の階層(第一階層)は記憶容量が少ない反面高速で処理できます。(マイクロ秒オーダー)主に、CPU(MPU)のメインメモリとして使われます
逆に一番下の階層(第三階層)は可搬媒体としての位置づけのため、保管場所がある限り記憶容量が無限大になります。但し、記録されたデータを取り出す済、(駆動装置へのマウント操作等)時間を要します。
また、第三階層の特徴としては記録しているデータを保持する済、電力を消費しないため、重要データの最終バックアップとして今も使われています。
第三階層の記録媒体は”磁気テープ”が現在の主流ですが、昔は磁気ディスク内の円盤を直接取り出して保管できるもの(IBM3330、日立のH-8589-11″通称イレブンパック”)などもありました
磁気ディスク装置は中央、第二階層(補助記憶装置)の下に当たります。(半導体記憶装置(SSU)の説明は割愛します)
磁気ディスク装置の特徴は性能自体第一階層に劣る(ミリ秒オーダー)ものの、日々のコンピュータシステムを支える重要な記憶装置です。
顧客がH-6587への切替を決定した結果、DISK交換に伴うデータ移行作業が必要となりました
データ移行といってもH-8598からH-6586-Kの移行の際に実施したボリューム単位(トラック単位)でのバックアップ・リストアは出来ません。1トラックあたりの容量が変っているため、データ移行専用のソフトウェアを使ってレコード単位でのバックアップ・リストアが必要となりました。
3390ベースのOS生成、新DISKの容量計算等の準備に1年、データ移行に(ハード作業含め)丸3日は要したと記憶しています
(移行対象ディスクはH-6586-Kボリュームで200弱だったと思います)
当時、VOS3にはDMFVSSが無かったため、DMF/DSMとJSFMOVE(IEHMOVE)を使い移行しました。
トラックサイズが変ると、データ移行という大きなリスクを背負う事になるという経験をここで得ました
私が初めて磁気ディスクエミュレータに触れたのは日立のRAIDディスク「SANRIZE」(以下、”サンライズ”と略します)シリーズでした。
“サンライズ”には物理的に3.5インチのHDDをRAID0やRAID5などのRAID種別に応じて搭載させ、「設定指示書」にてホスト側に認識させるエミュレーション情報を決定します。
設定指示書で与える内容は、、
・RAID種別(RAID1,RAID5など)
・DISK装置タイプ(8598、6586-K、6587,6588など)
・ボリュームのデバイスアドレス(DEVA)
・キャッシュ容量 などです
ここで、DISK装置タイプを8598(3380相当)や6588(3390相当)など、サイトの要望に応じ(物理HDD数の範囲内で)設定が可能になりました。
ディスク装置の交換(トラックサイズの変更)に伴うデータ移行の戦いは、過去の遺物となりました
次回は磁気テープエミュレータ(仮想テープ)について説明します
メインフレームコンピュータシステムにおける「磁気ディスク装置」の位置づけ

上の図はコンピュータシステムによく用いられる「記憶装置の三階層」にメインフレームの記憶装置を当てはめたものです。
一番上の階層(第一階層)は記憶容量が少ない反面高速で処理できます。(マイクロ秒オーダー)主に、CPU(MPU)のメインメモリとして使われます
逆に一番下の階層(第三階層)は可搬媒体としての位置づけのため、保管場所がある限り記憶容量が無限大になります。但し、記録されたデータを取り出す済、(駆動装置へのマウント操作等)時間を要します。
また、第三階層の特徴としては記録しているデータを保持する済、電力を消費しないため、重要データの最終バックアップとして今も使われています。
第三階層の記録媒体は”磁気テープ”が現在の主流ですが、昔は磁気ディスク内の円盤を直接取り出して保管できるもの(IBM3330、日立のH-8589-11″通称イレブンパック”)などもありました
磁気ディスク装置は中央、第二階層(補助記憶装置)の下に当たります。(半導体記憶装置(SSU)の説明は割愛します)
磁気ディスク装置の特徴は性能自体第一階層に劣る(ミリ秒オーダー)ものの、日々のコンピュータシステムを支える重要な記憶装置です。
磁気ディスクエミュレータが必要となる背景・・・”トラックサイズの変更”と”データ移行”の戦い
私が始めて日立のエンジニアとしてメインフレームコンピュータシステムの運用に関わった済、担当したコンピュータシステムは3380互換のH-8598(トラックサイズ47968byte)でした。途中、同じ3380互換のH-6586-Kへの移行を済ませ、3年後に3390互換(完全互換ではありません)のH-6587と関わりました。H-6586-Kに比べて設置面積辺りの記憶容量が2倍、消費電力が1/2という特徴でしたが、問題はトラックサイズが58786byteとなった事です。「ディスク装置の特性」参照顧客がH-6587への切替を決定した結果、DISK交換に伴うデータ移行作業が必要となりました
データ移行といってもH-8598からH-6586-Kの移行の際に実施したボリューム単位(トラック単位)でのバックアップ・リストアは出来ません。1トラックあたりの容量が変っているため、データ移行専用のソフトウェアを使ってレコード単位でのバックアップ・リストアが必要となりました。
3390ベースのOS生成、新DISKの容量計算等の準備に1年、データ移行に(ハード作業含め)丸3日は要したと記憶しています
(移行対象ディスクはH-6586-Kボリュームで200弱だったと思います)
当時、VOS3にはDMFVSSが無かったため、DMF/DSMとJSFMOVE(IEHMOVE)を使い移行しました。
トラックサイズが変ると、データ移行という大きなリスクを背負う事になるという経験をここで得ました
SLEDディスクの終焉とRAID(磁気ディスクエミュレータ)の登場
SLEDディスクを使う時代に終止符が打たれました。ディスク障害が発生すると、最悪の場合コンピュータシステムが完全に停止してしまうリスクをSLEDディスは持っていたためです。BCP(事業継続計画)に重点を置いているサイトではもうSLEDディスクは論外と思います。私が初めて磁気ディスクエミュレータに触れたのは日立のRAIDディスク「SANRIZE」(以下、”サンライズ”と略します)シリーズでした。
“サンライズ”には物理的に3.5インチのHDDをRAID0やRAID5などのRAID種別に応じて搭載させ、「設定指示書」にてホスト側に認識させるエミュレーション情報を決定します。
設定指示書で与える内容は、、
・RAID種別(RAID1,RAID5など)
・DISK装置タイプ(8598、6586-K、6587,6588など)
・ボリュームのデバイスアドレス(DEVA)
・キャッシュ容量 などです
ここで、DISK装置タイプを8598(3380相当)や6588(3390相当)など、サイトの要望に応じ(物理HDD数の範囲内で)設定が可能になりました。
ディスク装置の交換(トラックサイズの変更)に伴うデータ移行の戦いは、過去の遺物となりました
次回は磁気テープエミュレータ(仮想テープ)について説明します
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