ジョブ・グループの実行(続き)
ジョブ・グループの実行例(開始時刻指定ジョブ)
SDSF/STパネル
SCHEDUKEステートメントのHOLDUNTLパラメーターで実行開始時刻を指定したジョブも、サブミット後はJCLにエラーがなければ直ちにJES2の実行キューに入ります。ただし、指定の開始時刻になるまでは実行されません。
SCHEDUKEステートメントについては、「指定した時刻にジョブを実行する」を参照して下さい。

SDSF/JG → JP/STパネル
開始時刻の指定があるジョブを含むジョブ・グループの表示でも時刻による保留ジョブがあることは確認できます。次のパネルは、JG(ジョブ・グループ)パネルからジョブ・グループに対してJPあるいはSTアクション文字を入力した例です。

ジョブ・グループの実行例(同名ジョブの実行)
JEC(Job Execution Controls)によるジョブ・グループのジョブ運用では、JES2のデフォルト設定によって同名ジョブを順番に実行するようにしていても、ジョブ・グループに属するジョブの場合は属するグループが異なれば同じ名前のジョブであっても同時に実行されます。
元々のMVSにおけるJES2では同名ジョブは同時に実行されませんでした。OS/390 V2以降同名ジョブを並行して実行する機能(*1)が追加されましたが、デフォルトでは従来通りに同名ジョブは順番に実行する設定だったので、同名のジョブは同時に実行されないと理解されていることも多いと思います。JECでは、JOBDEFの設定に関わらず条件次第で同名ジョブも並行して実行されることを知っておかないとジョブ・グループのジョブ運用では意図したとおりのジョブの実行順にならない場合があります。
*1 JES2起動パラメーターのJOBDEFステートメントでDUPL_JOB=NODELAYが指定されていれば同じ名前のジョブも同時に実行される。デフォルトがDELAYなので同名のジョブは同時に実行されない運用が多い。
JES2のJEC(Job Execution Controls)は新しい機能なのでまだまだ普及していないようです。JECの機能を上手に使えば、同じジョブ内の同時に実行できるステップは比較的容易にジョブ分割することができます。同時に実行できるステップを並行して動かすことは、業務データ量が増えた際などのバッチ処理全体のスループットを改善するための1つの方策です。ジョブ・グループの概念を理解し適用することは、現行のシステム運用の改善策のカードが増えることにも繋がります。
参考資料「z/OS MVS JCL解説書(SA88-7091)」第30章 JES2実行制御ステートメント